ビジネスを成功に導くマーケティングにおける「ペルソナ設計」とは
広島・東京を拠点に持つデジタルマーケティング支援会社 株式会社MIRAI 代表取締役 西中政和です。
最近、「ペルソナ設計」を取り組みたいという企業様が増えております。
よく耳にするとおもいますが、実際には内容を理解できてない方も多くいらっしゃるのではないかとおもいます。今回は、ペルソナについてお話をさせていただきます。
目次
ペルソナとは
ペルソナとは、マーケティングにおいて、理想的な顧客やユーザーを具体的に表現した架空の人物像を指します。この手法では、年齢、性別、職業、趣味、ライフスタイルなどの詳細な特性を設定し、ターゲット顧客のニーズや行動パターンを深く理解することを目指します。ペルソナを用いることで、企業や開発者は製品やサービス、マーケティング戦略を、より顧客に合わせてカスタマイズでき、効果的なコミュニケーションと顧客満足の向上を図ることが可能になります。
デジタルマーケティング支援会社として数多くの企業様をご支援させていただいた経験から、今回はペルソナの必要性についてお話します。
ペルソナとターゲットとの違い
ペルソナとターゲットの違いは、ターゲットが広範な顧客グループを指すのに対し、ペルソナはより具体的で詳細な顧客像を描く点にあります。
ターゲットは、例えば「20代男性」「パパママ世代」「ご年配の方」といった、広範なグループ層を指します。これに対し、ペルソナはより具体的で、多数の人物属性を設定することで、リアリティのある顧客のニーズや課題が明確になります。
例えば、「女性向けの腕時計」を販売する際、「30代の女性」というターゲット設定だけでは、顧客が既婚か、主婦か、営業職か、腕時計にかける予算はどれくらいか、どのような雑誌を読むかなど、多くの曖昧な要素が残ります。これにより、企業と顧客の間にズレが生じるリスクが高まります。
ペルソナ設計を行うことで、顧客の趣味趣向、価値観、ライフスタイルを詳細に把握することが可能になります。これにより、顧客とのコミュニケーションが円滑に進み、エンゲージメントの向上が期待できます。
ペルソナ設計の視点から見た「顧客が選ぶ時代」における企業の対応
顧客が選ぶ時代における企業の対応
現代は、企業がマスメディアを通じて一方的に情報を発信するだけでは不十分な時代です。GoogleやYahooでの検索、Instagramのフィード、Amazonのショッピング体験など、個々にカスタマイズされた情報が提供されることが一般的になりました。このような環境下では、顧客一人ひとりの趣味趣向が多様化し、決定権が顧客に移行しています。
デジタル時代におけるペルソナ設計の重要性
企業や生活者にとって、顧客との最初の接点は、スマホの普及によりWebサイトやSNSになることが増えております。ここで重要なのは、顧客が求める情報を提供し、関心を引くことです。検索結果やSNSフィードで「これだ!」と感じさせるためには、顧客のニーズを深く理解し、それに合わせたコンテンツを提供する必要があります。これができなければ、顧客はすぐに離脱しまう可能性があります。
ペルソナ設計を活用したコミュニケーションデザイン
企業は、顧客のニーズを理解し、それに応じた関係構築のために、徹底したコミュニケーションをデザインする必要があります。ペルソナ設計のワークショップを通じて、顧客の行動や感情を理解することが可能です。
ペルソナの必要性・メリット
ペルソナ設定の重要性
これまでペルソナの概要について説明してきましたが、ここではペルソナがなぜ必要なのか、その理由とメリットを掘り下げていきます。ペルソナ設定の最大の目的は、顧客理解を深めることにあります。例えば、好きな人のことを何も知らなければ、その人に自分を選んでもらうのは難しいでしょう。同様に、顧客のことを深く理解することが、ビジネスにおける成功への鍵となります。
ペルソナのデジタルマーケティング効果
ペルソナは、デジタルマーケティング戦略立案、社内共有ツールとしての活用など、幅広い分野でその効果を発揮します。ペルソナ設定による主なメリットは以下の3点です。
- 顧客目線での考察が可能になり、顧客ファーストが実現しやすくなる
ペルソナを設定することで、顧客の視点を持ち、そのニーズに合わせた戦略を立てることができます。 - 担当者間でのペルソナ認識の統一と共有が可能に
ペルソナを明確にすることで、チーム内での理解が統一され、効率的なコミュニケーションが実現します。 - 顧客理解によりインサイトが明らかになる
顧客の深層心理や動機を理解することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
これらの点を踏まえ、ペルソナ設定の具体的なアプローチとその効果について詳しく見ていきましょう。
マーケティングの観点から見た顧客視点の実現
企業側の都合に基づく一方的なコミュニケーションは、顧客に違和感や嫌悪感を与えることが少なくありません。デジタル時代のマーケティングコミュニケーションでは、顧客のニーズを的確に捉え、「企業目線からの脱却」と「顧客からの逆目線」が重要です。
ペルソナ設計を行うことで、企業やマーケターの好みや都合ではなく、顧客の視点に立った議論や意思決定が可能になります。これにより、実際の顧客に響くコミュニケーション戦略や商品・サービス開発が行えます。
マーケティング戦略の策定時には、どのようなアプローチが顧客に好まれるか、いつ情報を発信すれば最も効果的かなどを考慮できます。また、コンテンツマーケティングにおいても、顧客を深く理解することで、より価値のあるコンテンツを企画し、ファン獲得につなげることが可能です。
例えば、Webサイトにおいては、ファーストビューのキャッチコピーを変更するだけで、顧客の反応やコンバージョン率の改善が見られることも珍しくありません。
担当者間でペルソナの認識を統一し共有できる
経営者やマネージャー、営業担当者の顧客像がそれぞれ曖昧であったりバラバラな場合、顧客に対して一貫性のあるコミュニケーションが取れません。
ペルソナ設計し顧客像を明確にすることで、社内の担当者間に共通認識が生まれ、目指すべき方向が明確になります。
また、ペルソナ設計の資料を共有することで、今後入社する新入社員や、プロジェクトに関わるステークホルダーを含めて、認識のズレや時間やコストなどが削減できるので効率的です。
顧客理解によりインサイトが明らかになる
経験豊富な経営者やベテランの営業マンであっても、自社の顧客について意外と、知っているようで知らないことがありますが、逆に顧客自身も自分が何を求めているのかを気づいていなかったりすることもあります。
ペルソナのワークショップをすると、商品・サービスの機能的なメリットだけではなく、顧客が求めていることや、顧客が自社商品を買う理由、などのインサイト(隠れたニーズ)が明らかになり、今まで企業側から分からなかった「気づき」が得られることで、より適切な訴求方法やニーズに合った商品開発を導き出しやすくなります。
例えば、カフェでランチする人は、「食事(機能的なメリット)」だけにお金を払っているのではなく、「心地よい場所で友人と過ごす楽しい時間(情緒的なベネフィット)」の対価としてお金を払っていたりします。
そのようなお店の改善策は、もしかするとメニュー変更や値引きキャンペーンではなく、接客対応や内装の改善が効果的かもしれません。
ペルソナの設計方法
MIRAIでは、ワークショップを実施する際に、実際の顧客や営業担当者のインタビュー、顧客インタビューやアンケート調査を行い、そのデータに基づいてペルソナを設計します。
▼ペルソナ設計で確認する主な項目例
・名前
・年齢
・性別
・職業
・家族構成
・居住エリア
・趣味
・主要デバイス
・主な情報源
・何のキーワードで検索をするのか
・サービスを検討するきっかけ
・どのような体験を求めているのか
・意思決定に重要な要素は何か
・不安要素は何か
※BtoBとBtoCで項目は異なります
理想的な顧客やユーザーを具体的かつ詳細に描写することにあります。ペルソナ設計の主な目的は、ターゲット顧客の特性、ニーズ、行動パターン、モチベーションなどを深く理解し、それに基づいてマーケティング戦略を最適化することです。
ペルソナ設計の注意点
ペルソナ設計の精度は、マーケティングの成功に直結します。効果的なペルソナ設計を行うためには、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
企業都合の顧客像を避ける
ペルソナ設計の過程で、企業側の都合に基づいた一方的な顧客像を描いてしまうことは避けるべきです。ワークショップでは、自社の商品やサービスを選んでもらいたいという願望から、偏った意見が出ることがあります。企業都合の顧客像になるとマーケティングの効果は期待できません。
ペルソナ設計の主な目的は顧客理解です。そのため、「もし顧客だったらどのように考えるか、行動するか」という逆目線で考えることも重要です。このアプローチにより、よりリアルで実際の顧客のニーズに沿ったペルソナを設計することができます。
ペルソナ設計は、マーケティング戦略の効果を最大化するために不可欠なプロセスです。上記の注意点を念頭に置きながら、正確で実践的なペルソナ設計を行うことが、ビジネス成功への鍵となります。
定期的にペルソナとバージョンアップ
ペルソナ設計は、一度完成したら終わりではありません。時代の変化とともに、業界を問わず市場の動向は常に変わり続けています。顧客の情報収集方法、使用するデバイス、趣味趣向、さらには求められるサービスも日々進化しています。
このような環境下では、ペルソナ設計を定期的に見直し、データに基づいた分析を行うことが重要です。市場や顧客の変化に合わせてペルソナをバージョンアップさせることで、常に時代に即した効果的なマーケティング戦略を維持することができます。
まとめ
マーケティングの究極の目標は、製品やサービスが自然と売れる状態を作り出すことです。
経営学者P.F.ドラッカーは、マーケティングの理想を「Marketing is to make selling unnecessary」と定義しました。これは、顧客を深く理解し、製品やサービスを顧客のニーズに合わせることで、自然と購買が促される状態を指します。
ドラッカーの理論に基づき、企業が顧客に選ばれるためには、ペルソナを通じた顧客理解が不可欠です。ペルソナ設定を行うことで、顧客の悩みやニーズを深く掘り下げ、顧客起点のコミュニケーション設計が可能になります。
デジタルマーケティングにおけるビジネスの成功は、顧客のニーズと期待を正確に把握し、それに応じた製品やサービスを提供することによって達成されます。ペルソナ設定は、このプロセスにおいて中心的な役割を果たし、企業が市場で競争優位を確立するための重要な戦略となります。効果的なペルソナ設計により、ターゲット顧客に響くマーケティング活動を展開し、ビジネスの成長と成功を加速させることが可能です。
弊社では、ペルソナのワークショップを通じて、多様な顧客の悩みやニーズを明らかにし、顧客起点のコミュニケーション設計をご支援してきました。ワークショップを終えた後の参加者からは、「顧客ニーズの理解が深まった」「新しい気づきがあった」「商品・サービスの見直しのアイデアが浮かんだ」といった肯定的なフィードバックを多数いただいています。これらの成果は、「BtoB」「BtoC」を問わず、様々なビジネス形態や業界・業種において実践されています。
お問い合わせのついて
ペルソナ設計に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。弊社の経験と専門知識を活用し、お客様のビジネスに最適なペルソナ設計をご提案いたします。